上級者向けDTMセミナーを開催!現役プロがマスタリングや、制作効率を上げる方法を伝授!
バンタンミュージックアカデミー POWERED BY ユニバーサル ミュージックのセミナーは、現役プロフェッショナル講師による授業を体験できます。
今回は、2026年4月19日に新校舎「五反田9号館」で開催された、上級者向けDTMセミナーの様子をレポートします。
この日のセミナーに集まったのは、すでに自力でプラグインを導入し、独学でオリジナル楽曲を制作している高いスキルを持った受講生たち。講師を務めるのは、数々のアーティストへ楽曲提供を行い、ギタリストとしても活躍する東田講師です。
プロの現場で実際に使われている高度な技術から、音楽を「仕事」として成立させるためのマインドセットまで、マンツーマンに近い丁寧な指導で行われた濃密な90分間の模様をお届けします。
【1. プロの視点で自作楽曲を徹底アナライズ】
セミナーは、受講生が1ヶ月ほどかけて制作した自作楽曲の試聴から始まりました。
受講生からは、Aさん「将来はボカロPとして活動したいです。自作アルバムを即売会で出したい」、Bさん「楽曲にふくよかな深みや厚みを出す技術を学びたい」といった要望が語られました。東田講師は、デジタルネイティブ世代ならではのツールの使いこなしに感心しつつも、プロの厳しい耳で改善点を的確に指摘していきます。

東田講師「この曲、メロディのセンスはすごくいいですね。ただ、ベースが少しデカすぎるかもしれません。制作環境にもよるけど、このスピーカーだとロー(低域)が他の楽器の音を潰してしまっているように聞こえます。曲のクオリティを上げるには、各楽器の音量バランスを整える『ミックス』が最大の鍵になります」
受講生「やっぱり低音の処理が難しいです……。どうしても音がこもってしまって」
東田講師「まずは自分の環境を疑ってみるのも大事。あとはドラムの作り込みかな。単調にならないようFX(エフェクト)を足してあげると、もっと楽曲に表情が出ます!パラデータ(トラックごとの音源)があればその場で仕上げてあげられたけど、まずは音圧をどうコントロールするかを学んでいきましょう」
【2. プロの現場の最短ルート「リファレンス」と「アナライズ」】
まずは、プロが楽曲制作の際に必ずと言っていいほど活用する「リファレンス(参照曲)」について。

迷いをなくすための「リファレンストラック」
東田講師「例えば、クライアントから『可愛い曲を作ってほしい』と言われても、その人がイメージする“可愛い”と、僕が思う“可愛い”は違うこともあります。
プロの仕事現場では、クライアントから『この曲みたいな雰囲気で』というリファレンストラックが送られてくることがよくあります。これをただ聴くだけじゃなくて、徹底的にアナライズ(分析)することが上達の近道になります」
受講生「好きな曲を真似するのは、なんだか悪いことのような気がして避けていました」
東田講師「その気持ちは、よくわかります。でもゼロからすべてを創造しようとするととても時間がかかります。例えば、リファレンス曲をDAWに並べてみて、サビでどんな楽器が入ってくるか、ドラムのフィルイン(繋ぎのフレーズ)がどこで入るかを視覚的に確認します。その『フレームワーク(骨組み)』に自分のメロディや音を当てはめていく。パズルを解くような感覚で構成を考えるのが、実は一番の近道であり、プロの仕事術です」
東田講師「アーティストは自分の内面を表現する人だけど、仕事としての作曲家は、『相手が求めているものを効率的に作るマシーン』にならなきゃいけない瞬間があります。いかに効率的に、狙い通りのクオリティで、そして早く作れるか。そのためには、リファレンス曲を解剖して、『なぜこの曲はかっこよく聞こえるのか?』という正解を自分の引き出しに入れておくことが大事です!」

※リファレンス 制作の指標とする参照曲。音色、ミックスのバランス、曲の構成などを参考にするために使用する。
※アナライズ 既存の楽曲を聴いて、楽器編成、コード進行、メロディの動き、音圧などを論理的に分析すること。
【3. 「革命!オゾン活用術」——AIと数値を駆使したマスタリング術】
次に話題は、音の最終仕上げであるマスタリングへ。
東田講師は、業界標準のプラグイン「iZotope Ozone(オゾン)」を使い、数値に基づいたマスタリングを披露しました。
東田講師「『オゾン』は、いわばラーメンのニンニクです。入れときゃ、美味い!っていうもので、僕はお守り的な存在だと思っています(笑)」と、ユニークな視点で例えます 。

ミックスが「各楽器のバランスを整える作業」だとすると、マスタリングは「曲全体のサウンドを仕上げ、配信・リリースに最適な状態にする作業」です。
① EQ(イコライザー) 低音・中音・高音のバランスを微調整
② Impact 音の迫力・パンチ感を整える
③ Imager ステレオの広がりを調整
④ Clarity 音の抜けや輪郭をクリアに
⑤ Stabilizer 全体の音圧を安定させる
⑥ Dynamic EQ 音量変化に応じた細かいEQ処理

プロは「耳」ではなく「数値」を活用する
東田講師「みんな、マスタリングの時に自分の耳だけで判断していませんか?ヘッドフォンの音量は、機材や環境や体調でも変わってしまいます。

だからプロは、耳だけでなく客観的な「数値」を参考に判断することが多いです。そこで重要になるのが「ラウドネスメーター」という指標です。ざっくり言うと、「どれだけ音が詰まっているか」を把握するための値です。僕の体感では、マイナス13からマイナス6 LUFSの間を狙うのがベスト。あまりにもLUFSの値が小さいと配信プラットフォームでは音が小さく聞こえてしまうことがあるし、逆に詰めすぎると音楽的な響きが失われることもあります。こうした数値を意識しながらバランスを取るのが、プロの現場で行われることの多い作業です。
※ラウドネス(LUFS) 人間が実際に感じる音の大きさを数値化した国際規格。現在の音楽制作において最も重要な指標の一つ。
Ozoneは「土台作り」に活用する
東田講師「Ozoneを初めて使うなら、いちばん盛り上がる『サビ』の部分をAIに読み込ませます。AIが自動で最適な土台を作ってくれます。そこから、さらにマキシマイザーやリミッターを使って、メーターを見ながら自分の狙い通りの数値に調整します」
【4. 音楽で「食っていく」ためのテンプレート術】
セミナーの後半では、制作スピードを極限まで高めるための「テンプレート」作成についても指導が行われました。
東田講師「二人はDAWのテンプレートを作っていますか?
毎回一からドラムを組んだりプラグインを挿したりするのは時間がもったいないです。僕は最初から、いつも使うギターやベースの処理、お気に入りのシンセを並べた状態のテンプレートから書き始めます。最初からある程度ミックスが完成した状態でスタートすることで、創作に集中できるしスピードも格段に上がります」とアドバイス。

さらに、素材選びについてもプロの視点が語られます。
東田講師「Splice(スプライス)などの素材サイトも使い倒しましょう!昔は素材探しに何時間もかかっていましたが、今は決め打ちで『いつものメンバー』を揃えておきます。そうすることで、自分だけの武器を磨いていけると思います」

【5. 「音楽表現を楽しんでほしい!」業界は、働き方の自由度も高い】
セミナーの最後、東田講師は自身の経験を交えながら、受講生たちへ将来に向けた力強いアドバイスを送りました。
東田講師「1人でめちゃくちゃクオリティの高い音源を作れるようになれば、どこにいても仕事ができるのも音楽業界で働く魅力です。僕も高校生の頃からずっとこのスタイルで自由に生きています。最高です。今日の知識を持ち帰って、まずは自分の曲を数値で確認してみて。100人いたら100人のスタイルがあります。
ぜひ、自分だけの武器を磨いて、自由な音楽表現を楽しんでほしいです」
受講生の感想は……?「今日の話は本当に目から鱗でした。リファレンスの使い方も、マスタリングの数値も、帰ってからすぐに試してみます!」
バンタンミュージックアカデミー POWERED BY ユニバーサル ミュージックでは、技術だけでなく、現場で生き抜くためのリアルな知恵を、プロの講師から直接学ぶことができます。「もっと高いレベルを目指したい」「プロからアドバイスが欲しい」「音楽業界でのキャリアを築きたい」という方は、ぜひセミナーを体験してみてください。
【PROFILE】
東田 貴也講師(ギタリスト / コンポーザー / アレンジャー)
エレキギターのレコーディングやサポートを主に作曲・編曲等の制作活動やカバー曲のオケ制作など幅広く活動している【主な作曲・編曲 アーティスト】釘宮理恵(CV)、福井 巴也、湊元りょう、水野まい、君とのシナリオ、NEMOPHILA、88flavors(ex Aqua Timez)、UNiFY、NEVERLAND