ボン・ジョヴィ、スティーヴィー・ワンダー、アレッシア・カーラの歌詞から学ぶ。 音楽を入口に英語を学び、英語を入口に世界を知る「英語と洋楽」
「AIがあるから、英語はもう必要ないのでは」。音楽業界を目指すメンバーのなかには、そう考える人もいるかもしれません。その問いに向き合う選択授業「英語と洋楽」が、バンタンミュージックアカデミーで始まりました。初回の講師は、ユニバーサル ミュージック USM洋楽 マーケティングストラテジー部の寺嶋真悟さん。洋楽を聴き、歌いながら、音楽で世界とつながるための2時間を追いました。
1. 英語は、音楽の仕事を拡張する
寺嶋さん「英語ができなくても音楽の仕事はできます。でも、英語ができれば行ける場所は本当に増えます。英語の仕事をするためではなく、自分の専門の力を世界まで広げるために、英語は音楽の仕事を拡張してくれます」
寺嶋さんは「片言でも自分の気持ちを伝えられれば、関係性は変わります。私見ですが、韓国のある世界的なグループが大成功した理由の一つは、メンバーが英語に堪能だからです」と話しました。
近年、日本の音楽を海外に届けようという動きが音楽業界全体で広がっています。昨年始まった、国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」や、海外での音楽イベントなど、日本の音楽を世界へ届ける動きが加速しています。
2. 予定されていない会話を、自分の言葉で拾える人が強い
海外フェスでの挨拶、スタジオでのセッション、海外メディアの取材。ミュージシャンにとって英語が生きる場面が次々と挙がります。
寺嶋さん「日本のライブで、海外のアーティストが『おはようございます』と言ってくれたらうれしいですよね。それはどこの国でも同じです」
もちろん、必要な場面では通訳の存在が欠かせません。一方で、その分野に対する理解がなければ、アーティスト名や専門用語やニュアンスが伝えにくい場面もあります。
寺嶋さん「もちろん通訳は大事です。でも、予定されていない会話を自分で拾える人が強いです」
3. 英語力は、自分だけの武器ではない
語学力が必要とされるのは、支える側のスタッフにとっても同じです。国内の仕事を中心に担う場合は、必ずしも英語力が必要とは限りませんが、海外レーベルとのやり取りや海外フェス・メディアへの対応、海外アーティストとのコラボレーション、ツアーの現場は、英語力があると広がる仕事です。
寺嶋さん「海外案件を別の担当に任せると、そのアーティストを売りたいという熱量は100%のままでは伝わりません。英語があると、アーティストを支えられる活動の幅が変わります。自分の英語力は、自分だけの武器ではないんです」
4. リスニング、スピーキング、ボキャブラリーが同時に鍛えられる
AI翻訳は便利です。ただ、「英語で直接反応できると関係はぐっと深まる」と寺嶋さんは続けます。そこで提案されたのが、洋楽で学ぶ方法です。歌詞を見ながら聴き、気になる1行の意味を調べ、声に出してまねをする。リスニング、スピーキング、ボキャブラリーが同時に鍛えられます。
寺嶋さん「たくさんの曲を聴くより、好きな1曲を頭から最後まで、意味もわかって歌えるようにするほうが、英語学習としては間違いなくいいです。音楽の知識も増えます。知識の幅は広ければ広いほど、深ければ深いほどいい」
5. 洋楽の歌詞から、社会が見えてくる
授業で使われたのは、ユニバーサル ミュージックが音楽と教育をつなぐプロジェクト「UM English Lab.」の教材。洋楽を題材にした英語学習と非認知能力の育成を軸に、教職員向けの副教材を提供しています。2026年には東京書籍の英語教科書『NEW HORIZON』との連携副教材も生まれました。新しめの洋楽を選び、英語の歌詞には発音を助けるカタカナを添えています。この表記は、洋楽を歌いながら英語の発音を身につける「Nipponglish(ニッポングリッシュ)」の考え方に基づいています。
最初の曲は、ボン・ジョヴィ「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」。「登場する2人を当ててみましょう」という問いに、メンバーは耳を澄ませます。ストライキで仕事を失ったトミーと、ダイナーで働くジーナ。
苦しい暮らしのなかでも2人なら大丈夫だと、祈りながら生きていく物語です。サビの「プレイヤー」は「player」ではなく「prayer(祈り)」。
メンバーはカタカナを頼りに、サビを声に出して歌いました。
後半は、歌詞を見ながら英語を追います。
歌の背景を知ることで聞こえ方が変わる曲が続きました。
スティーヴィー・ワンダーの「ハッピー・バースデイ」は誕生日曲として定番ですが、実はキング牧師の誕生日をアメリカの祝日にしようというメッセージ性の強い歌詞。この歌が社会のムーブメントを後押しし、実際に祝日が制定されました。
ロジックの「1-800-273-8255」。
この数字は何を表現しているでしょうか?実はこれはアメリカの自殺防止ホットラインの番号。重いテーマにもかかわらず、誰もが口ずさめるようなアートとして昇華させたヒットソングです。
アレッシア・カーラの「スカーズ・トゥ・ユア・ビューティフル」では、「自分がA&Rなら、どんなミュージックビデオをつくるか」を1分間考えてから、実際の映像を見ました。メディアがつくる理想像に問いを投げかけたこの曲は、世界的なヒットを記録。彼女自身もノーメイクでパフォーマンスしています。
寺嶋さん「もちろん、洋楽は高尚な歌ばかりではありません。パーティーソングや恋愛、友情を歌う曲もあります。一方で重いテーマでも、ビートと歌詞とで大きな共感を呼ぶことができる。音楽を入口に英語を学び、英語を入口に世界を知ってください」
6. 求められることに150で返す
メンバーからの質問に答える時間では、アーティストとして海外に出るうえで大切なことを問われました。寺嶋さんは、「求められることは150で返す。言われていないことをやる。期待を超えていくものを、毎回のツアーでやることが大切だと思います」と答えました。
専門部1年次・トレザノ・ジウリアさんは、オーディション「覚醒前夜」の二次審査にも進んだ、シンガーソングライター志望のメンバーです。
トレザノさん「音楽業界は世界がテーマになっているので、英語ができるようになりたいです。自分ならどんな歌詞がつくれるか、考えながら英語を聴いていました」と話します。
【PROFILE】
寺嶋真悟さん(ユニバーサル ミュージック USM洋楽 マーケティングストラテジー部)
ユニバーサル ミュージックの洋楽×教育プロジェクト「UM English Lab.」に携わる。洋楽を題材に英語学習と非認知能力の育成を目指す同プロジェクトでは、教職員向け副教材の提供や出前授業、東京書籍『NEW HORIZON』との教材連携、学習プラットフォーム「Kahoot!」とのパートナーシップなどを展開。2026年10月から、バンタンミュージックアカデミーの選択授業「英語と洋楽」でも教材が使われる。
【公式サイト・SNS】
UM English Lab. https://um-english-lab.com/
Instagram https://www.instagram.com/umenglishlab/
X https://x.com/UMEnglishLab
YouTube https://www.youtube.com/@UMEnglishLab
TikTok https://www.tiktok.com/@umenglishlab
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